【後編】ラオスで詐欺トランプに引っ掛かりそうになった件について
明くる朝、オーストラリアのシェフ男(自称)はスクーターで原付でホテルまでやってきた。手には新鮮そうな魚、野菜を詰め込んだスーパーの袋を握っていたため、いよいよシェフであることを信じてしまう。
通勤ラッシュと思われる活気づいたビエンチャンの街並みを2ケツで駆け抜け、旅の出会いに改めて感謝した。
10分ほどバイクを走らせると男の家にたどり着いた。
朝ごはんは現地の芋を使ったおかず、ちょっとしたスイーツなど素朴ながらおいしい手料理をいただいた。ふと気が付くとそこには、昨日見かけたシェフのご家族だけではなく、60歳程度のおじさんがいた。どうやらシェフの親戚らしい。
おじさんの職業は豪華客船のカジノディーラーとのこと。流暢な英語でこれまで巡ってきた世界の港について熱く語ってくれた。
そんな折、おじさんは話しかけてきた。
おじさん「キミもカジノを覚えてみないか?」
自分「え、トランプとか苦手だけど、、、なんか面白そう!」
おじさん「そうこなくっちゃ!ブラックジャックを教えてあげよう!」
トントン拍子で話はすすみ、
ブラックジャックのルールは極めてシンプルで自分にもできそうだと思ってきた。
おじさん「実はさ、俺すごく嫌いなやつがいるんだ?」
自分「え、どんな人?」
おじさん「すごく金持ちな奴なんだけどさ、すごく嫌な奴でさ。実はそいつ、オカマなんだけどさ、ラオスの若い男の子を集めては悪さをしているんだ」
自分「お、おう。。。」
おじさん「キミもそんなやつ許せないだろ?今日は実はそいつがうちに遊びにくるんだ一緒にカジノをやる約束をしている。俺がディーラーをするから、一緒にそいつをハメようぜ」
自分「え?どうやって」
おじさん「俺がディーラーってことは、カードをこっそり見ることができる。俺がサインを出すから、そのサインに従ってゲームを進めればいいんだよ」
このあたりでさすがに自分も詐欺だと気づいたが、下手すると殺されるのではないかと思い、おじさんの言うことに従った。眉毛を触ればエース、鼻を触れば2、、、といったサインを必死で覚えた。
ちょうど覚えたぐらいのタイミングで、オカマ登場。そんなにいいタイミングで来るわけあるかい!wと思いつつ、おやじはトランプを切り始めた。
・・・・。やっぱりダメだ。帰らせてもらおう。
自分「えーあのー賭け事は嫌いだし、帰りたいんだけど」
おじさん「えー?ただのゲームじゃん!」
おやじは未だにオカマをハメようぜ!と言わんばかりに左の眉毛を上下させている。
自分「ってかこれって違法じゃないの?」
おじさん「わかったよ」
観念したのかおやじはおかまに向かって目配せをした。
おかま「実はこの国には病気で苦しんでいる子供かいてさ。。。募金してくれないかな?」
まさかの募金作戦ですか?あなた悪人じゃなかったの?っと思いつつ、
ゴネて命を奪われては仕方がないので100円相当のお金をオカマにくれてやった。
おかまは不服そうな顔をしていろいろ言ってきたが、英語が分からないふりをしてその場をしのいだ。
その後はシェフのバイクに乗せられて、無事ホテルの前で開放された。シェフは別れ際に携帯の電話番号を聞いてきて、あくまで友人を装っていたが、どうみてもあなたも悪人でしょ!と心の中で疑わずにはいられなかった。
そうして後味の悪いまま、ラオスの旅は終わったのであった。。。
【結論】
海外で英語できる人はエリートor悪人のどちらか。平日の昼間っからエリートが朝ごはんをおごってくれたりすることはあり得ないので、みなさんも気をつけましょう。笑